:言説分析(その①)
言説分析の手つきを学ぶため、とりあえず一部巷で話題になっている『青少年に有害! 子どもの「性」に怯える社会』(J,レヴィアン=著/藤田真利子=訳。河出書房出版社)を読む。問題の「江原解説」は未読のためそれに関するコメントができず残念だが、そこから読み解いた言説分析の手つきについて。
- クレイム群から言及できる、人々の心理を〈解釈〉する。ただし〈解釈〉は下の方法と組み合わせることによって説得力を担保することが必要。
- クレイム群で共有されている言葉について、その言葉の定義のゆれに言及する
- (異文化や過去との)比較により、あるクレイム群に登場しない言葉や発想を探す
- クレイム群の「前提」を探る。ないし「背後仮説」を探る。
- (上と近いが)クレイム群の欲望(→粗く言えば、クレイマーが何を望んでいるか)を探る
- あるシステムが他のシステムからご都合主義で他からの言葉を「領有」する
- 「前提」なり〈解釈〉なりから、別の(差別的な)クレイム群に接続可能なことを論理的に詰める
- 法制度と諸エージェントの共犯を探る① (例)議員や圧力団体が特定の信条を含めた法律、補助金制度を構築するプロセスを追及する。
- 法制度と諸エージェントの共犯を探る② (例)警察などが法律上よかれとして行っていることが、法からの「逸脱」を過度に煽り立てている過程を追及する。
- 広義の制度(文化)と諸エージェントの共犯を探る。 (例)子どもに書き換え可能な「内面」があるというクレイムを作ることによって、教員たち/教育学が自らの立ち位置を正当化できる。
- 法律の「字義」でなく、そのパフォーマティブな側面(「効果」)を追う。
- 数的資料(統計)を持ちだし、クレイム群の虚偽を暴露する
今回の釣果はこんなところ。私の研究だと、数的資料を出すのは難しいなー。他の数手の組み合わせで戦うという方向性でいくかぁ。しかしこれを【「子どもの性」を賭金として構築される「制度」「言説」のメカニズム】と括ってしまうあの方の芸当には脱帽……はやくああなりたいもんだ。